福島民友新聞家庭版「Me&You」26年5月号に掲載されました

小さな芽~『遊び』が育てるもの~ 理事長 若月 ちよ

「遊びは、子どもにとって生きることそのものです。」

日本冒険遊び場づくり協会のホームページにそんな言葉が載っていました。
今子どもたちは、そんな本当の「遊び」をしているのでしょうか?いえ、福島のこの状況だからというのではなく、それより以前から、本当の「遊び」が、子どもたちから奪われていたのではないか、と思うのです。
本来遊びは、創意工夫していくものでした。既成のおもちゃで遊ぶのとは違い、自然の中にあるものを使って創り出していくものでした。そこでは、好奇心を持って、様々な興味のあるものに手を伸ばし、その目で見、その耳で聞き、その肌で触れ、その手で創り出し、時には味わい、子どもたちの持っている五感をフルに使って「遊ぶ」のです。

そこでは、自分のペースで挑戦することができ、そしてもちろん失敗することができ、また、再トライすることができる。自分の力を試しながら、悔しい思いをしながら、自信を培っていくことができたのです。
また、「遊び」の中で、友だちとのかかわり方を学ぶことができました。一緒に力を合わせて何かをやり遂げること、お互いの思いをぶつけて喧嘩をすること、そして仲直りすること。年上の子は、年下の子を従えながらも、守ってあげる。それを見て年下の子たちは、あるべき姿を学んでいく。本当の意味での社会性を身に着けることができたのです。
大人が介入しない子どもの世界で、子どもたちが本当の遊びをしていた時代、子どもたちは理屈ではなく、体感として様々なことを学び、様々な力を育てることができたのです。
子どもたちの周りから、自由に遊べる空間がいつの間にかなくなっていました。泥んこ遊びができた道端はアスファルトになり、秘密基地を作った空き地は駐車場になり、枝を折ったり、木登りをしたりできる木はなくなりました。
いろいろなことが便利になっていく中で、子どもたちの大事な力を育てる「遊び」ができる場は失われていったのです。

子どもたちの生きる力が弱くなったという前に、子どもにとって生きることそのものである「遊び」を子どもたちに取り戻してあげましょう。

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