福島民友新聞家庭版「Me&You」26年9月号に掲載されました

小さな芽~「いじめ」について~ 理事長 若月 ちよ

昨年「いじめ防止対策推進法」が施行され、国、地方公共団体、学校は、いじめ防止対策方針を立て、いじめ防止対策の組織を作る等が決まりました。三年前大津いじめ事件が起き、今回の動きが加速したのでしょう。法律やしくみを作ることは大切です。そしてそれ以上に大切なのは、その中に心を入れることです。

「いじめ」を考える時、そこには「いじめる子」「いじめられる子」そして「傍観者になる子」が存在します。そして、いじめが起きている時、みんなそれぞれに、孤独であり、不安を感じています。安心できる・信頼できる人間関係ができていない状況の中で、いじめは生まれます。
自分を大切に思える子、自己肯定感が育まれている子はいじめをしません。「自分は大切な存在」=「他の人も大切な存在」だと考えられるからです。「いじめる子」は、実は自分を大切に思えない、寂しさや孤独等を抱えています。それを埋めるために「いじめ」を行うのです。ですから、「いじめる子」を叱っても、罰を与えても解決にはなりません。
もちろん悪いことは悪いと伝えることは必要です。でも、その子の寂しさや苦しさを理解し、そこに寄り添うことがより必要なのです。

誰もが「いじめられる子」になる可能性があります。いじめる理由は何でもいいのだから・・・いじめを受ける側は、理由がわからないまま、混乱してしまい、誰かに相談したくても、家族には心配かけたくない、他の人に知られたくないという思いがあり、「いじめられている子」は孤立していくのです。ですから、そ こにもその苦しさを受け止めてあげる存在が必要です。安心して話せる存在、それは、はじめ電話相談かもしれません、親ではないかもしれません。でも、何かあったらいつでも話を聞くよ、というメッセージを子どもに伝えておくことが大事です。
そして、話してくれた時には、ひたすら「聴く」こと。アドバイスはいれず、その苦しさを受け止めてあげることです。

そして、「傍観者」の子どもたちも、実はどうしていいかわからずにいます。自分たちに何ができるのか・・・それは次回考えてみましょう。

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