想像力と思いやり 理事長 若月 ちよ
先日テレビを見ていたら、チンパンジーと人間の違いについて話をしていました。人間から様々な知恵を学ぶチンパンジー。時には人間以上の記憶力を発揮します。でも、人間に在って、チンパンジーにはないもの・・・それは想像力だそうです。
たとえば、お母さんがお菓子の袋を開けられずに困っていると、子どもは「ハサミあるよ」と手渡してあげることができます。お母さんの様子を見て、「困っているんだなあ」と『想像する』ことができ、それを解決するためには、「ハサミで開けることができる」を考え、お母さんに手渡してあげる・・・そんな一連の行動は、『想像する力』があるからできるのです。そしてそれは、『思いやり』です。
相手の気持ちを『想像する』ことが出来なければ、『思いやり』の気持ちは出てこないのです。
なぜ人間は『想像する』力を獲得することができたかというと、それは『言葉』でした。『言葉』を使って人間は、今ここに無いものを表現し、今ここに無いものについて、伝えあえるようになったのです。
例えば、大昔、美味しい果実を見つけた人間が、それがどんなものだったか、その果実のあるところにどうやって行けばいいのかを『言葉』を使って伝えると、それを聞いた人間は、どんな果実か想像し、行く道のりも想像しながら聞くことができたのです。
『想像する』ためには、『言葉』が必要なのです。
子どもたちが、多くの言葉を吸収していく時期に、物事を考えていく時期に、まわりの人と会話をすることは、とても大事なことなのです。まだ、言葉を発しない赤ちゃんの時代、実は声かけから言葉を聞き学んでいるのです。多くの言葉を吸収し、ある日突然自分の言葉として発するのです。ですから、赤ちゃんにはたくさん声を掛けてください。
子どもたちにとって、考えるための道具として、『言葉』が必要です。そのために、いろんな言葉をまわりの人から学ぶことが大事なのです。まわりの人との会話の中で、『言葉』を学んでいき、考えることができるようになり、『想像する』ことができるようになるのです。そして、それが相手への『思いやり』という行動に繋がっていきます。子どもたちとの会話、いっぱいしてくださいね。