福島民友新聞家庭版「Me&You」26年4月号に掲載されました

小さな芽~聴くという力~ 理事長 若月 ちよ

子どもたちは、幼稚園や保育園、そして学校など、家の外の社会から帰ってきた時、いろいろな思いを胸に抱えて帰ってきます。
「ただいま! あのね・・・」
その日あったうれしかったこと、楽しかったこと、悲しかったこと、悔しかったこと、そして、なんだかわからないけど「もやもやっとした気持ちになったこと」・・・そんな話を「きいて」もらいたい、子どもたちは感性が豊かな分だけ、大人以上に「きいて」ほしいことをたくさん持っているのではないでしょうか。
でも慌ただしい夕方、つい忙しくて、「あとでね」、そして、そのまま聞き逃してしまうこと、ありますよね。私は、子育ての時期、子どもの話を聴くことの大事さをわからないまま、貴重な時を逃してしまった後悔があります。

実は、「きく」にはいくつかの種類があります。一般的な「聞く」は音や声を耳に入れること、その内容を知るという意味。そして、「聴く」は傾聴すること、耳を傾け理解しようとすること。また、「訊く」は答えを求めて問う時に使います。

子どもたちの話を「きく」時に必要なのは、「聴く」ことです。それは子どもの気持ちや心に耳を傾けること・・・何があったのか問い正すのではなく、そのことに対してアドバイスや、意見をするのでもなく・・・子どもの話にひたすら耳を傾けることです。そして、そんな風に聴いていると、子どもがどんな気持ちになったのか、どんなことを想ったのかを感じることができます。
大人は、そんな気持ちに寄り添ってあげればいいのです。

ちゃんと話を聴いてもらった子どもたちは、ちゃんと気持ちを受けとめてもらったことを感じ、安心することができます。
たとえば、友達とうまくいかないことがあって、悲しい想い・悔しい想いを持って帰ってきたとしても、話をしっかり聴いてもらい、その気持ちをしっかり受け止めてもらえたら、ちょっぴり弱ってしまった自信を回復して、きっと、次の日には元気にまた外の社会へと出かけていけるのです。
「聴く」ことにはそんな力があります。

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