福島民友新聞家庭版「Me&You」27年4月号に掲載されました

小さな芽~「不安」をないことにしない~ 理事長 若月 ちよ

4月は新年度のスタートですね。子どもたちにとっては、新しい仲間との出会いや、新しい環境との出会い、それぞれにひとつずつお兄さん・お姉さんになるうれしさと楽しみを感じる時でしょう。また、それと同時に、新しい仲間との出会いや新しい環境への不安を感じることもあるでしょう。
新しいことへの期待と、同時に感じる不安は、大人でもあることですよね。ましてや、体験や経験の少ない子どもたちにとって、不安を感じるのは当然のことです。
でも、その不安は「案ずるより産むがやすし」というように、案外スムーズに新しい環境になじんでいくことのほうが多いものです。我が家の三男も、幼稚園初日にバスに乗り込む際、大泣きをして先生に抱えられたものの、二日目からはニコニコとバスに乗り込んで行ったことを思い出します。
まわりの大人が子どもの不安に反応して、一緒になって不安になってしまうと、子どもの不安感はより増してしまいます。かといって、その子どもが感じている不安な気持ちを「不安に思ってはいけない」と、封じてしまうことも、ちょっと違います。
今はとても不安なのだ…。そのことは、そのまま受け止めてあげま しょう。
何かを感じて、泣いたり、ぐずぐずしたり、いつもと違う様子が見ら れたら、「不安なんだね」「心配なんだよね」と、その気持ちを言葉にしてあげてください。
そして、不安を感じることは、決して悪いことではないのです。ネガティブな感情を持つことに対して、そんなこと思ってはいけないとか、 無理やり封じようとすることがありますが、その気持ちを何とか解消しようとすることではなく、今自分の中にその気持ちがあることを、子ども自身で認めていいのです。
「不安」は「不安」として、ちゃんと感じることは、自分の感じている気持ちを大事にすることです。そして、それは自分の気持ちをちゃん と感じて、自分を大事にできる「自尊感情」へとつながるのです。

今、お子さんが感じている不安をないことにしないで、受け止めてあげてくださいね。

small_bud_april_27