福島民友新聞家庭版「Me&You」26年1月号に掲載されました

小さな芽~「育つ」ということ~ 理事長 若月 ちよ

この世に生まれ、日々を生きていく中で人は育っていきます。子どもから、少しずつ大人になっていきます。子どもが毎日成長していく過程の中で、何 が「育つ」のでしょうか。

赤ちゃんは、思いっきり泣いて自分の欲求を訴えます。その声に応え、周りの大人たちは母乳やミルクを与え、おむつを取り替え、あやす・・・生まれたばかりの子は、無意識ながら、しっかり自分の主張をしているのですね。そして、しっかり自分を主張することで、自分が育つために必要な「もの」を得ているのです。すごい力ですね。
必要な「もの」とは、身体の成長に必要な母乳やミルクなどの栄養であり、病気をすることなく安全でいられるように、周りの大人たちに世話をしてもらうことであり、安心していられるように、愛情をかけてもらうこと。そうした「もの」を得て、赤ちゃんはすくすくと育っていくことができるのですね。

自分で行動できるようになると、子どもたちは少しずつ世界を広げていきます。ハイハイできるようになり、歩けるようになることで、自分の行きたい方へ、自分の興味のある方へと近づいていくことができるようになる・・・当たり前のことですが、これってすごいことだと思いませんか。自分の行きたい方へ、ちゃんと進んでいくことができる力が育っているということです。

もう少し大きくなると、行動範囲は家の中だけではなく、近くの公園や、保育所や幼稚園へと広がっていきます。その中で、子どもたちは自分以外の存在との関わりを持っていきます。今までは、自分以外の存在は、自分を守ってくれる大人たちだけだったのが、今度は少し違ってきます。一緒に楽しく遊べる友だち、でも時には、自分がやりたい遊びを主張しても通らなかったり、大好きな砂場遊びをしているときにお気に入りのシャベルを取り上げられたり・・・そんな、悲しくなったり、悔しくなったりする経験にも出合うようになります。
泣いて周りの大人に訴えるとき、大人たちは、泣いている理由を尋ね、その理由が分かると「そう、それは悲しかったね」「それは悔しかったんだね」という言葉と共に、なだめてもらい少しずつその気持ちは納まっていくのです。こうした大人の言葉かけで、子どもたちは今の感情が「悲しい」ということ・「悔しい」ということだと学び、そして、その気持ちを否定されることなく受け止めてもらうことで、自分の気持ちをそのまま感じていいことを学びます。
  子どもたちの中に、「気持ち」が育っていくのです。
この「気持ちが育つ」ことを大切にすることが、子どもが本来持っている力を出していけることにつながるのではないかと思うのです。

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